『読者諸兄は、荻原浩に物語の神が微笑んでいることに、そろそろ気づかなければならない。』花村萬月(『メリーゴーランド』帯より)

荻原さんも大好きな作家さんです。もう新刊でるのがどれだけ待ち遠しかったか。本を手にしてニコニコ。それにしても今回の帯、力入ってますね。気持ちはわかるけど文字入れ過ぎ!(笑)上の花村さんの文章もその中のほんの一部なんです。でもほんとうにそうなんです。みなさん、気づきましょう。おもしろいですよ〜>荻原作品

と、期待いっぱいで読み始めました。探偵ナイトスクープの「パラダイス」を思わせるような描写で物語は始まります。やっぱ楽しいわ、荻原さん。これはますます期待が膨らみます。だけど読み進めるうちにだんだん腹がたってきちゃって・・・。読みながらあんたら一回外(民間)に修行に行って来い!って何度思ったか。いや、そんな物語じゃないんだけどね(A^^;

この物語の主人公は地方都市の公務員なんですが、物語の中で親方日の丸の役所体質の怠慢さがこれでもかとでてくるのですよ。もちろん主人公はその中で孤軍奮闘してがんばるんですが、そのがんばりに感動する以上に怠慢な役所体質に嫌気がさしてしまうのですよ。(といってもこれはわたしの個人的事情大だと思う。休みなく働きづめの毎日。天引きの所得税はもちろん、この間町県民税ごっそり払ったところ。もうこれで大きな税金はしばらくないだろうと思ってたら、とんでもない税金請求がまた来たし。もう少し時間に余裕あったら贅沢な悩みだと割り切れるかもしれないけどこの生活だもんなぁ、やんなっちゃう、トホホ)

といってもこれは物語。もっと素直に楽しめばもっと楽しめたのに残念。ま、それだけ荻原さんの文章が巧いってことで。で、もちろん物語はそんなことだけで終わってなくて、その中で苦労する主人公の様子が面白おかしく描かれるユーモア満載社会派小説なのです。

そして、憂いてばかりじゃいけない、変えて行かなければと。もちろん簡単に変えていけるものじゃないけれど。でも諦めて黙っててはなんにも変わらない。少しでもいいから、できることから、やれることから。そうするとまた希望もみえてくるよねと。ねっ、荻原さん。

ちょうど今週末は参議院選挙投票日。諦めちゃいけません。

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と、もちろん『メリーゴーランド』にも物語の神様は微笑んでるんですが、前作『神様からひと言』の方が読んでて楽しかったかも。そしてとにかく文句なく面白いのが『誘拐ラプソディ』。これなんで文庫になんないんだろうねぇ?早く出せばいいのに。そして荻原さんは『コールドゲーム』や『噂』などミステリ小説もいいんですよ。『噂』には参りました。ネタバレで是非話したい物語です(気がつきましたか?と訊きたい)。花村さんの言うとおりですので、機会があれば荻原作品を是非。おもしろいですよ〜

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